夜尿症
5歳以上になっても月に1回以上のおねしょが3か月続く場合を夜尿症といいます。
けっしてめずらしい病気ではなく、5~6歳でも5人に1人(約15~20%)、10歳でも20人に1人(約5%)にいると言われています。
水分制限などの生活習慣の見直しだけでも自然に治る可能性もありますが、10歳を過ぎると治りにくくなるとも言われています。
また、最近では便秘の関与や自閉症スペクトラム障害の合併なども報告されています。
当院ではこれまでの経過や症状の問診と診察を行い、生活習慣の改善からご説明させていただきます。
生活習慣の見直しでも症状の改善が見られない場合は薬物療法として抗利尿ホルモン薬(おしっこの量を減らすホルモン)であるミニリンメルト@の内服やアラーム療法を行っていきます。
6か月以上みられなかったおねしょが再度認めるようになった場合は、他に基礎疾患が隠れている可能性があるため総合病院などにご紹介させていただきます。
数か月~数年の治療が必要となるため5歳以上でおねしょに悩まれている場合は一度ご相談ください。
熱性けいれん
熱性けいれんとは
38℃以上の発熱に伴い、意識障害やけいれんを起こす病気です。主に生後6か月~5歳くらいのお子さまに見られます。
てんかんや髄膜炎など発熱やけいれんを起こすほかの原因が見られない場合に診断されますが、遺伝的な要因が強いと言われています。
熱性けいれんを経験するお子さまの割合は日本では5~10%程度です。
症状
- 手足をかたく突っ張ったり、ガクガクふるわせる
- 白目をむいたり、視線が合わない
- ゆすったり呼びかけても反応がない
- 嘔吐を伴うことがある
- 唇が紫色になる
熱性けいれんの種類
単純型熱性けいれん
- 『複雑型熱性けいれん』のいずれも当てはまらないもの
- 15分以内にけいれんはおさまり、1回の発熱の中でけいれんは繰り返しません。
複雑型熱性けいれん
熱性けいれんのうち、以下の3項目の一つ以上をもつもの
- 発作が15分以上続く
- 1回の発熱のなかで、24時間以内に複数回発作を繰り返す
- けいれんが体の一部に部分的にみられる
けいれんを起こした時の対応
落ち着いてけいれんの様子を観察しましょう
- どれくらいけいれんが続いているか
- 熱はあるのか
- けいれんに左右差がないか
嘔吐している場合は横を向かせて、吐いたものでのどが詰まらないようにしましょう
5分以内にけいれんがおさまり、意識がはっきりしている場合は慌てず医療機関を受診してください
以下の場合は直ちに救急車を呼んでください。
- けいれんが5分以上続いている
- けいれんを繰り返している
- けいれんは止まったが呼びかけても反応しない
熱性けいれんの予防について
けいれんを予防するために、抗けいれん薬の座薬を使用します。
発熱が続く場合は8時間後にもう一度座薬を使用することでけいれんを起こしやすい24時間予防効果が続きます。
予防投与に関しては医師により見解がことなるため、一度ご相談ください。
便秘症
便秘とは
便秘とは便が長時間出ない、出にくい状態をいいます。
便が出ない状態が続くと便が硬くなり、排便時に出血したり、痛みを伴うようになるため子どもは恐怖で排便を我慢するようになります。
また小児の場合は便の出口に長時間便が溜まってしまうと、便意を感じにくくなってしまうためますます便秘が悪化してしまいます。
また最近では便秘とおねしょ(夜尿症)の関連が指摘されています。
どうなったら便秘?
便秘は便の回数などで定義されておりません。
おなかが痛い、排便時におしりが切れて血が出てしまう、おなかが張って食欲がない、吐いてしまうなどの症状がある場合を便秘症といいます。
便が定期的にでていても診察でおなかに便がたくさん触れる場合や便秘による症状を認める場合は治療を開始します。
便秘の治療
便秘の治療は便を柔らかくする薬(酸化マグネシウム、オリゴ糖)やおなかの動きを刺激する薬(ピコスルファートナトリウム)などを使用します。
2歳以上のお子さまはポリエチレングリコール製剤(モビコール®)を使用します。
どうしても便が出ない場合はグリセリン浣腸などで排便を促します。
赤ちゃんの場合はおなかをマッサージしたり、綿棒で肛門を刺激することにより排便を促すことができます。
まずは便の通り道に溜まっている栓を取り除くことで便の通過をよくして、気持ちよくうんちが出せるよう治療していきます。
以前、小児外科の先生から『浣腸はくせになりませんが、便秘はくせになります』とお聞きしました。
便秘が気になる場合は早めに当院へご相談ください。